Leverages データ戦略ブログ

インハウスデータ組織のあたまのなか

データドリブン文化を推進する社内研修まとめ

はじめに

データ戦略室ビジネスアナリティクスグループの井上です。
これまでデータ戦略室では、チーム内ではもちろんのこと、現場の営業・マーケター・エンジニアに向けてもたくさんの勉強会を行ってきました。
データの業務に携わっている人の中には、企業の中でのデータドリブン文化の構築を同時に担っている方も多いのではないでしょうか。実際に私もそういった役割を担っています。
そこで、実際に0から組織へのデータ活用を浸透を行う中で、データ戦略室としてこれまでにどのような社内勉強会を行ってきたかをまとめたいと思います。今後データ活用を企業文化として浸透させようとしている組織の方の参考になれば嬉しいです。

データ活用のために求められること

現場の営業・マーケター・エンジニアの人たちが「データを活用しよう」と思ったときに、必要になりそうな知識やスキルについて簡単にまとめてみました。

  • データ蓄積
    • どのようなロジックでデータが入力・蓄積されているかの知識
      • 例) ビジネスや業務のフロー
      • 例) システムの仕様やテーブル構造
    • どのようなデータが基盤に蓄積されているかの知識
      • 例) 基盤で扱えるデータの種類
  • データ処理
    • データ処理の定義やロジックの知識
      • 例) 各種KPIの算出方法
    • データ処理のスキル
  • データ活用
    • データを活用する上で必要な考え方
      • 例) データ分析のフロー
      • 例) 課題設定の仕方

実際に勉強会を開催した段階では上記のようにカリキュラムを体系化していたわけではなく、その時々で必要になった事柄を題材にして企画をしていました。 今あらためて振り返ってみると、結果的には上記のどれかに当てはまる勉強会をやってきたなと感じています。

これまでに開催した勉強会の紹介

新卒向けデータ活用研修

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「データを活用して問題解決をしていく上で必要な知識を身につける」ことを目的として、2020年4月以降に入社した新卒のマーケター・デザイナー・エンジニア全員に向けた研修を行っています。
「データ活用は目的を達成するものであり、闇雲にデータの海に飛び込んではいけない」というような考え方から、実際に目的設計~データ設計~データ処理~データ分析を行うまでのノウハウを提供するような内容になっています。
また、時間が確保できた年は、簡単な統計指標やスプレッドシートの使い方なども合わせてコンテンツにしていました。

データドリブン文化を実現するためのシステム開発についての勉強会

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社内の開発チーム(データ組織とは別)に向けて、「データドリブン経営を実現するために、どのようなデータが必要で、どのような開発が求められるのか」について共通認識を持つための勉強会を過去複数回開催しました。
「システムが問題なく動くこと」と「システム使用者にとって使いやすいこと」と「活用したいデータをうまく蓄積していくこと」を両立していくためには、それぞれの役割の人たちが同じ目線を持ってプロジェクトを進める必要があります。
そうした共通の考え方を全員が持てるように、データ基盤についての概論や今後の展望、システムとデータ組織の連携の進め方などについてお話しています。

SQL・R・Pythonの勉強会

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現場における意思決定スピードを高めるべく、自分たちでデータを抽出・整形してそのまま意思決定ができるようになるためにSQLやR、Pythonの書き方についての勉強会を開催しています。
基本的なSQLの書き方はもちろんのこと、書くまでに意識すべきことや、書いているときのチューニングに至るまでをお話しています。
また、勉強会だけではなく、業務の中でその都度質問を受けたり、少人数形式での質問会を開催するなど、様々な形式でデータ戦略室に限らず社内のスキルの向上に努めています。

各種社内ツールの使い方に関する勉強会

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先程のSQL・R・Pythonの勉強会と同じような目的で、TableauなどのBIツールやスプレッドシート等の基本的な使い方についても勉強会や質問会を開催しています。
SQL等でデータを抽出する作業よりもデータ活用現場に馴染みのある部分の勉強会になるので、より直観的に使用してもらえるように意識しながらコンテンツを考えています。

データ分析のために知っておくべき事業・業務プロセスに関する勉強会

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こちらは事業部のマーケター・デザイナー・エンジニアに向けた勉強会です。
営業職以外の社員が営業の業務プロセス理解を深めることで、自身の業務がどう現場に作用しているのか、また改善するならどういう部分か、を考えるきっかけをつくる目的で開催したものです。
データ組織として行う勉強会の中では、やや毛色が異なるのですが、各職種と関わりながら業務を行うことが多く、業務プロセスの理解も一定深いデータ戦略室だからこそ、職種間の情報格差を埋めるような役割も持てそうだなと思って開催しました。
事業がどう回っているのかを理解することで、より広い視野で自分たちの業務を見ることができるので、引き続き現場理解の促進は行っていきたい分野でもあります。こうした部分から、職種を超えた新たな課題設定が生まれると良いなと思っています。

事業部内の勉強会への登壇

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弊社のマーケティング部では「Monthly Marketing Meetup」 と呼ばれる、マーケティング部としての専門性を高めるための知識を共有し合う勉強会を行っています。
こちらでも、マーケティング部や全社のデータ活用度を高めるためのコンテンツとして、関わる人の多い「事業のモニタリング」に関する内容を話しました。
弊社では現場の方々がモニタリングの設計から作成まで行うことが多いですが、そのせいもあってか属人化が進んでしまっています。BIツールの導入やデータ基盤の整備による仕組みでの改善ももちろん必要ですが、モニタリングを作っていく人自身の設計や作成の力を伸ばしていくことも効果的であると考えています。

今後について

今まで様々な勉強会を開催してきましたが、全社としてのデータ活用をより広げていくためにはまだまだやらないといけないことがあります。これらの勉強会に関しても、1回やって終了というわけではなく、継続的に開催・アップデートしていく必要があるものです。
また、社外イベント参加等を通して、自社内だけでは得られない知識や経験を得ること、自社の経験を展開していくことにも大きな意味があると考えています。
勉強会やイベントの開催・参加を通して、引き続き社内外への発信を強めていきたいと思います。
データドリブン文化を形成するにあたってうまくいった事例をお持ちの方、今後そういった取り組みをしていく予定の方がいれば、是非情報交換させてください。