Leverages データ戦略ブログ

インハウスデータ組織のあたまのなか

Rettyさん・Thinkingsさんと、”データにまつわるここだけの話”をしました

はじめに

レバレジーズのデータ戦略室でデータアナリストをしている井上です。私がレバレジーズに入社してから1年ちょっと経過しました。
おかげさまで多方面から「丸くなったね」と言われます。言われるたび「いやいや元からこんなんですよ」と返します。
しかし、元からこんなんであるならば、中途面接時に「ちょっと失礼な言動があるのが懸念点」なんて言われるはずがありません。

さて、先日、Retty本社にて、データ組織の交流会を開催しました。
参加企業はRettyさん、Thinkingsさん、レバレジーズの3社です。
Rettyさんはグルメプラットフォーム”Retty”を運営、ThinkingsさんはHRプロダクトの”sonar ATS”を展開している企業です。

交流会の形式は、「各データ組織から事前に集約した悩みや問題についてディスカッションする」形式にしました。
オンラインでの勉強会やセミナーとは異なり、完全クローズドであるため、各社の”ここだけの話”をすることができ、大変有意義な時間となりました。

本記事では、交流会で盛り上がったトピックをいくつか紹介します。

データ組織と事業の最適な付き合い方とは?

レバレジーズでは、データ組織と事業部の適切な関係性に課題感を感じていました。
データ組織と事業部がそれぞれ独立している場合、派遣型と中央集権型のどちらかの形で、業務を共にすることが多いです。

レバレジーズのデータ戦略室では、「派遣型」の構造を取る場合が多いです。
データ組織から、事業部やプロジェクトに1名が派遣され、個人のタスクマネジメントや関係者との関係構築、キャッチアップ等を行いながらPJの推進を行います。

この派遣型では、下記のような課題感を感じていました。

  • データ組織から見て、メンバーの状況把握が難しく、迅速な問題の検知や適切なFBがなされにくい
  • 事業部から見て、データ業務の品質低下に気づきにくく、言及もされにくい

私たちは、上記課題に対し、下記の動きを強めることで派遣型のデメリットを軽減しています。

  • データ組織内では、日次の夕会や週次の確認会といった、コミュニケーションの機会を増やす
  • 事業部に対しては、自ら関係者に1on1を設定し、積極的にFBをもらいにいく動きを増やす

このような状況を踏まえ、各社で実施していることはあるか相談したところ、Rettyさんも同様の問題に直面していたようでした。
Rettyさんはこの問題の対策として、派遣型から一部中央集権型に移行しています。このことはRettyさんのブログ記事でも触れられています。

派遣型の課題に対しての打ち手として、アナリストのスキルに応じて派遣型と中央集権型を使い分ける、という意見をいただきました。
ミドルレベル以上のメンバーは派遣型、ジュニアレベルのメンバーは中央集権型にする、というものです。
確かに、ジュニアレベルのアナリストにおいては先輩の背中を見て学び、一定のデータ分析業務の方を身につける方が成長も早く、精神的にも良さそうです。

データ業務における、適切な目標設定とその評価はどうやる?

データアナリストは「分析によって意思決定がなされた世界線」と「分析がなく意思決定がなされなかった世界線」を比較することで、ある程度はインパクトを定量的に評価することが可能です。

一方で、データアーキテクトの仕事の目標設定とその評価はどのようにするのが適切なのでしょうか。
データアーキテクトの仕事は、成果が数値に現れにくい場合が多いです。

Rettyの平野様は「生産性とデータの安全性がアーキテクトの評価指標となり、基本的には負債解消がゴールとなる。
定量評価ができるようになるわけではないが、組織内だけでもその業務の価値を称賛してあげることが重要。」といいます。エンジニアの評価指標に近いかもしれません。

私は、まずはデータ組織内において、お互いがどんな仕事をし、どんな影響があるのか、といったことを深く理解し、承認し合うことが重要ではないかと考えています。

レバレジーズでは、毎週金曜日の夕方に「私のお仕事紹介」というコーナーを設けています。
データアナリスト・データアーキテクト・データエンジニア・データサイエンティストの4職種のメンバーが毎週1人ずつ、15分ほどプレゼンをしています。
この試みにより、各メンバーの業務が承認される機会の創出だけでなく、組織内のナレッジマネジメント文化の醸成にも役立っています。

意思決定に役立てるため、発信やレポーティングで意識していることはある?

Thinkingsの江川様より、「意思決定に役立てるため、発信やレポーティングで意識していることはありますか?」とのご質問をいただきました。

「ストレートに示唆や解決策を出すというよりは、大事なのは相手に気づかせること。『こんな結果が出たが、どんなことができるか?』という風に、オーダー元の相手にも逆に質問を投げかけることで、考えたり気づいたりする余地をもってもらえれば、相手の経験知を引き出すことができる。」と江川様は言います。

続けて、Rettyの平野様によると「プロジェクトの立ち上げ当初で誰と組むかが重要。信頼性が既に高く、分析結果を利用してくれる相手と組むことにより実戦知を活かしたレポーティングが加速される」とのこと。
お二人のいうことはいずれも「他人の持つ知見を活かすことで、分析の価値は大きくなる」ということでした。

データアナリストは多種多様な人と協働し、時には「自分と異なる考えの人を動かす」必要があります。
データと向き合うだけでなく、人と向き合い、相手の立場や考えを考慮した上で立ち回ることの重要性を実感しました。

おわりに

各社の抱える悩みや問題に対し、経験談や実例をもとにした議論をすることができました。
対面で、かつクローズドな場だからこそできるリアルな話も多くあり、オンラインセミナーにない、充実した時間となりました。

改めて、会場を提供いただいたRetty様、開催までの企画にご協力いただいたRettyの平野様とThinkingsの江川様、ありがとうございました! 「データ戦略室と意見交換がしたい!」あるいはという企業様がいらっしゃいましたら、是非とも井上まで一度お声がけいただけますと嬉しいです。(tomotaka.inoue@leverages.jp)
より多くの価値を生み出せるデータ組織を、一緒に作り上げましょう!