レバレジーズ データAIブログ

インハウスデータ組織のあたまのなか

経営者として会社にデータ部門を作りたいと思ったら知っておいてほしいこと

はじめに

こんにちは、レバレジーズデータ戦略室でマネージャーをしている小山です。

社内でデータドリブンな文化を作ったり、データ活用組織を拡大させていきたいと考えている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
データ文化づくりや業務プロセスのAI化などの話題は影響も大きく、もはや一現場レベルではなく会社の経営レベルの話題になっています。
経営層にどのように動いてもらえるか、どのような考え方を持ってもらえるかによってデータ部門の成果とスピードは大きく変わるのです。
私がこれまで、データ組織をマネジメントする上で経営層や事業責任者層の方と一緒に組織運営をさせていただいた感覚をもとに、「経営層の方にはこういったことを知ってもらったり、意識してもらえると、データ人材としてはありがたいんだよ」という、組織の上の方から見たデータ組織のトリセツ的なものを書こうかと思います。

もちろん経営者に求めるばかりではなく、自分たちの組織を強くしていくうえで、データ組織にいる方自身が経営層に下記のことを理解してもらうように日々能動的に動くべきである、というブーメラン的な思想を絶対に忘れてはなりません。
とはいえ、ガツンと経営層に影響力を発揮するのが苦手な方もいらっしゃると思いますので、データ組織の中の人の心の声と思って、困っている人に届くといいなとは思います。

※私自身は、この会社では経営層や事業責任者層に感じたことがあれば対話の場を設けさせていただき、その都度適切な動きを一緒に考えていただいたと思っています。そのため、現経営陣に不満があるなどは一切なく、むしろいつもデータ戦略室に働きやすい環境を作ってもらっていることに感謝していることを先に断っておきます。

いきなり大きなことを言わないで、スモールスタートを意識させてほしい

データ分析やデータ活用は、分析しただけではまだ何の価値も生んでいません。
その分析によって人の行動を変え、その行動の変化によってビジネスにとって何かしら良い影響が出始めてやっと、分析が価値につながるのです。
かつ、なにか新しい仕組みを導入するときは、その変更によってもたらされる価値を実感しないと人は動きません。
ただ、その価値を実感するにはやってみないとわからないわけです。ここにジレンマが生じます。

全社の売上を事業単位で予測するモデルを作って!社内全員のKPIを可視化する仕組みを作って!全社の離職率予測推定をして!
など、大きなこと、網羅的なことから始めるとどうしても具体的な成果が出るまで時間がかかってしまいます。
それよりも、データ活用に興味のあるアーリーアダプター的なリーダーがいる部門でクイックウィンを狙わせてほしいです。
それこそ、大きな長期的な成果を狙って途中で頓挫したりなかなか具体的な成果に結びつかなかったりすると、社内で次のプロジェクトをやるにしてもやりづらくなっちゃったりするんですよね。

「最終的には全社単位で考えたいが、まずは◯◯の部門の●●という課題でさくっと成果出してほしい。協力的な部長がいるから。」と言ってくれるだけですごくやりやすかったりします。

データサイエンティストやAIエンジニアといった職種が万能だと思わないでほしい

一言にデータ職種と言っても様々な職種に分かれているのが現状です。
「とりあえずデータサイエンティストが必要だ!」と言っている経営者の方、ちょっと待ってください。

少し前までは「データサイエンティスト = データに関することが何でもでき、データを使ってビジネスを伸ばすことができる人」という理解が広がっていました。
しかし、データが生み出されるシーンやデータ量が莫大になったり、ビジネス環境が複雑になったり、職域に求められる専門性が広く深くなっていた現在では、そのような定義は当てはまらなくなりました。

「データサイエンティスト」と言った際に、(全部が全部そうではありませんが)人材市場においては「アルゴリズム開発を行う人」という認識が強まってきています。
「データサイエンティストを入れよう」と言っている方の話を聞くと、実際に必要としていたのは「ビジネス課題を見つけてデータ観点で仕事に落とし込める人」「特定事業にコミットして、アドボックにフットワーク軽くデータ分析を継続できる人」ということが良くあります。
いわゆる人材市場において「ビジネスアナリスト」などと呼ばれるペルソナであることが多いです。

また、データ活用にあたってはまずはしっかりデータ蓄積環境を整える必要があるため、蓋を開けたら必要なのはデータサイエンティストではなくてデータエンジニアだった、ということも多々あります。
こういった、ビジネス状況によって求められるジョブディスクリプションが変わってくるのだ、ということを理解して経営者の方がデータ組織とコミュニケーションを取ってくれるだけで、非常に組織づくりやプロジェクトの体制構築がやりやすいという感覚があります。

できる範囲で経営資源の投資をしてほしい

ヒト、モノ、カネ、情報と呼ばれる経営資源をできる範囲で回してもらえたり、そこに対しての裁量があると嬉しいです。
直接系に売上などをあげるわけではない間接部門であることが多い組織ですし、やってみるまでインパクトや成功確率を正確に定量化することも難しい部門であるのは事実です。
その中でも、「信じて経営資源を回してもらえると嬉しい」と、皆心の中で思っているのではないでしょうか。
自分たちは他の部門のお金を使わせていただいているという感謝はしているので、どうしても直接は言いにくいのも分かるんですけどね。

もちろん、会社の経営や方針などにもよるので、何でも際限なくできるとは思っていないです。
しかしながら、余裕のある範囲で、必要なヒトは採用してきて良いよ、クラウドインフラやツール、計算環境にお金が必要なら投資するよ、必要があれば書籍やセミナー、外部情報の収集を支援するよ、などしてもらえたら嬉しいですし、組織マネージャーの方はこういった意見をしっかり経営層に伝えていくのが大事なんだと思います。

それこそ「君の給料上げるよ」よりも上記みたいな投資理解をしてくれた方が組織が強くなると思いますし、私個人も嬉しいしエンゲージメントも上がるかなと思います。

社内広報活動に協力してほしい

みんな苦手なんですよね、成果をアピールすること。

単発のPJで成果を出すとかならまだ楽なのですが、「文化」を変えることは非常に時間のかかる難しいことなんです。
小さな成果や変化であっても、発信力のある立場の方から「こんな取り組みをやって、こういう成果が出た」と発信してもらえると助かります。

その事例に関心を持った人が同じ取り組みを始めて成果が横展開されていったり、データ部門の存在感が増して勝手に現場単位で依頼が来たりしてコレボレーションが生まれます。
そうやって、データドリブンな文化作りは加速していくのです。時間はかかりますが。
また、なによりデータ部門とビジネス部門と経営部門が分断されにくくなり、データ部門の人間からすると成果や要求も見えやすくなり、この組織に所属して良いんだという安心感が生まれるのも大事なことです。

データ活用によって会社や組織が生まれ変わると信じ抜いてほしい

なんだかんだこれが一番大事かと思います。
データ活用を推進したら、自分たちの会社やビジネスがより良くなるんだ!という信念を持っていただきたいです。

「データドリブンな文化を作っていくことって本当に意味あります?思ったよりパッとした成果につながってないですよね?」と言われた瞬間、データ部門の人間はその組織には存在できません。
前述の通り、データ活用によって価値が出るまではそこそこの時間がかかります。
人や組織の意思決定を変えるためには、様々な人の感情的な障壁を乗り越える必要があったりします。
下手したら、自分たち自身も「これは成果につながるのか、うまくいくのか」と不安を抱えて走ってたりするんです。

ただ、世の中には時間をかけて、難しい課題をクリアしてデータドリブンな文化を作ってきた成功事例もあるわけで、そういった未来を一緒に信じながら、ポジティブな言葉をかけてくれたら、それだけでついていきたい経営者No.1になります。

おわりに

以上、経営者として会社にデータ部門を作りたいと思ったら知っておいてほしいことを5つ書きました。

最初に書いた通り、この記事を読んだ人にも、レバレジーズデータ戦略室の同僚にも、こういったことを他者に求めるだけではなく、自分たちが主体者となって経営層にこういったことを理解してもらうように動くべきだ、という点は絶対に忘れないでほしいです。
他人を変える前に、まず自分の行動や考え方を変えるのが何倍も早い、というやつですね。

一方的な要求ではなく、お互いに良い関係性を築いて協働するための価値観の自己開示みたいなものだと思っていただければわかりやすいかなと思います。
なお、個人の感想なので異論は認めます。

もし、データ部門ともっとうまく協働できたらなと思っている経営層の方や事業責任者、組織マネージャーの方がいらっしゃれば、こんなこと言ってるデータ部門のマネージャがいたなぁと、どこかで思っていただければと思います。