はじめに
こんにちは。
レバレジーズデータ戦略室、データアーキテクトグループの鵜飼です。
今回は、社内でTableauダッシュボードのレビューフローを整備したお話をできればと思います。
整備したばかりでまだ実運用には乗っていないのですが、着手するに至った背景や実際に行ったことをご紹介します!
取り組みが始まった背景
レバレジーズでは、これまでコードレビューは徹底されていたものの、Tableauダッシュボードの運用においては、属人化という課題を抱えていました。
その結果、ダッシュボードの作成者が退職してしまうと、残されたメンバーがその保守運用に苦心することが少なくありませんでした。
具体的には、多岐にわたるデータソースへの接続に加え、計算フィールドが多層的に複雑に定義されており、そのロジックを読み解く作業は膨大な労力を要していました。
Tableauに関するドキュメントを残す文化も定着していなかったため、過去に作られたダッシュボードの存在自体が知られていない、といったことも起こっていました。
しかし、別のブログでご紹介しているデータ分析基盤整備プロジェクトが進行し、一部事業においてセマンティックレイヤーにあたる階層を構築し、KPIの定義や集計処理をBigQueryで行うことで、Tableau上での操作を最小限に抑えることが可能になりました。
Tableau側の操作が限定的になったこの機会を捉え、ダッシュボードのレビュー体制を確立し、運用ルールの標準化を進める運びとなりました。
また、現在私が所属するデータアーキテクトグループでは、かねてより課題意識はあったものの他業務との兼ね合いで優先順位が低く、対応を後回しにしてきた事柄に向き合い、徐々に解決していこうという取り組みをしています。
その際に議題に上がったこともあり、着手することになりました。
実際に行ったこと
レビュータイミングの策定
まずは、どのタイミングでレビューを行うかを定めました。
レビュー文化は必要である一方で、必要以上に増やしてしまうとレビュワー負担が増え工数が逼迫してしまいます。
結果として、ダッシュボードの新規作成時のみレビューを必須とし、セルフチェック項目の割合を増やすことで、レビュワーにかかる工数を最小限にしました。
レビュー観点の洗い出し
新アーキテクチャーに変えた後でtableauを作成したのは現状社内では私のみだったので、作成していく中で意識していた点や改良すべき点を洗い出し、チームのメンバーに壁打ちをしてもらいブラッシュアップしました。
また、このタイミングで前職でTableauを使用してダッシュボードを作成していたメンバーが転職してきたので、どのようなルールがあったかや、もっとこうしたほうがよかったと思っていた点などの意見出しをしてもらいました。社外の視点を取り入れる貴重な機会となりました。
基本的なUIの取り決め以外に今回策定したものとして、計算フィールドの記載ルールを定めました。
前述の通り、新アーキテクチャの導入によりTableau側での複雑な数値加工を最小限にしたことで、計算フィールドの使用パターンが限定されるようになりました。
そこで、これらの限定されたパターンを洗い出し、誰もが共通のルールで記述できるよう、具体的なコーディング規約を作成しました。
下記は一例ですが、このように判定フラグ等の視認性向上のための加工はOKだが、数値自体を加工することはNGとしています。
例: IF SUM([実績]) >= SUM([予算]) THEN "達成" ELSE "未達成" END
今後は、新たな使用パターンが見つかれば随時追記・共有してもらう運用とし、継続的な規約のブラッシュアップを目指します。
事業別のフォーマットの作成
ダッシュボードのUIに一貫性を持たせるため、事業ごとの専用フォーマットを作成しました。
まず、共通の基本的な雛形を設計し、レバレジーズが多岐にわたる事業を展開している特性に合わせて、それぞれのブランドカラーを反映させた複数のフォーマットを用意し、これらを各事業専用のプロジェクトに格納しています。
このフォーマット作成における最大の目的は、単にタイトルのフォントサイズといった基本的なデザイン要素を揃えることだけでなく、特にサイドバーに記載する内容と表現方法を統一することにありました。
ダッシュボードの概要を記載したうえで、各種KPIの算出ロジックや、データソースの最終更新時間を記載することで、利用者からの問い合わせを減らすことを目指しています。
おわりに
まだレビューフローを構築したばかりであり、今後の運用には不透明な点も残されていますが、改良を重ねつつ、Tableauのレビュー文化を浸透させていければと思っています。
現時点での課題としては、レビュー対象の増加に伴う工数との兼ね合いや、レビューの完了状況を確実には追跡できないという『性善説』に基づいた運用になっている点が挙げられます。
しかし、第三者の目が入ることで、品質担保はもちろん、作成者以外がダッシュボードを保守運用するハードルが大幅に下がると信じています。
また、今回の取り組みは、他社のBI品質保証や保守運用がどうなっているのかの知識が自分に全くなく、これから積極的に情報収集しこうと考え直すきっかけになって良かったと思っています。