Leverages データ戦略ブログ

インハウスデータ組織のあたまのなか

日本一のフリーランスデータベースを大公開したので、AWSイベントに登壇させていただきました。

はじめに

初めまして、データ戦略室データアナリストの井上と申します。このブログで過去に登場した井上とは別の井上です。レバレジーズ内においてSplatoon最強の男です。

先日、大変ありがたいことに、AWS様が主催するAWS で実践!Analytics Modernization ~事例祭り編~の登壇依頼をいただき、オンラインにて「日本一のITフリーランスDBを世間に大公開してみた」というタイトルで発表いたしました。

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弊社のレバテックフリーランスというサービスでは、レバテックにご登録いただいている企業様、IT技術者様にマイページ「レバテックプラットフォーム」をご利用いただいております。情報収集やレバテックとのやりとりや契約管理だけでなく、企業様によるIT技術者検索やスカウト、IT技術者様による案件検索や応募まで、フリーランスの全てがレバテックプラットフォームで完結します。

この度、そのレバテックプラットフォームに、AWSのBIツールであるQuickSightを埋め込むことで、レバテックの持つ膨大なデータを有意義な形で公開しました。現在、多くの企業様と技術者様にご利用いただき、大変ご好評をいただいております。

本記事では、QuickSightの社外利用に関して下記の流れでお伝えいたします。

  • レバテックってなに?
  • なんでQuickSightを選んだの?
  • QuickSightを使ってみてどうだった?

「QuickSightを社外利用か...ふん、おもしれー使い道」と思っていただけますと幸いです。

レバテックってなに?

弊社が展開する、IT技術者に特化した就職支援サービスです。中でもレバテックフリーランスは、日本のIT技術者の約5人に1人に相当する20万人にご登録をいただいている、ITフリーランス業界トップのサービスです。

現在、日本はIT技術者の不足という課題を抱えています。2020年時点で30万人のIT技術者が不足しており、2030年には45万人にも及ぶと試算されています。

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ますます広がるIT技術者の需給格差を解消するため、レバテックは「IT技術者の最適配置による生産性の最大化」の実現を目指しています。つまり、「正社員もフリーランスもうまく使って、IT技術者の不足を柔軟にカバーしようね」ということをしているのが、レバテックです。

しかし、「フリーランスも使ってね」とはいったものの、企業もIT技術者も、フリーランスに対して漠然とした不安を抱えています。

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自由には責任が伴います。雇う方も雇われる方も、信頼性や安定性、スキルについて不安はつきません。

そこで、レバテックの持つデータを公開し、企業とIT技術者双方の不安を払拭しようと考えました。「市場にはこんなスキルのIT技術者がいるよ」「このスキルは結構高い割合で契約更新されるよ」みたいなことがわかったら安心できますよね。ITフリーランス業界トップのレバテックには、信頼に足る膨大なデータがあります。

なんでBIツールを埋め込んだの?

「企業とIT技術者をデータで安心させるんじゃ!」精神の元、レバテックプラットフォーム上でレバテックのデータを公開することになりました。しかし、データのビジュアライズ機能をWebアプリとして内製し、実装するには、かなりの工数がかかります。何か不備があった際の改修対応も遅れかねません。

では、BIツールを埋め込んだらどうでしょうか。Webアプリの開発を全てスキップできます。特に、企業向けのレバテックプラットフォームでは、現在提案可能な技術者の一覧を検索できる機能をQuickSightで実装しています。データに何か不備があった際はQuickSightをいじればいいので、とても簡単に改修できます。

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なんでQuickSightを選んだの?

そもそも当初はQuickSightではなく、弊社内で広く利用されているTableauを使う予定でした。しかし、Tableauは今回の用途にはあまり向いていなかったのです。

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特に、実装コストとUXの2つが大きな課題でした。Tableauを数千人規模で利用する場合、そのデータ可視化の計算を自前のサーバで行わなくてはなりません。サーバの選定から構築までトータルで2人月ほどかかる上、保守・運用をする必要があります。

さらに、Tableauの利用にはIDとパスワードの入力が必須です。つまり、レバテックプラットフォームにログインしたあと、Tableauにログインする必要もあるのです。

Tableauはビジュアライズ機能とデータコネクタの多彩さがとっても魅力的なのですが、今回の用途にはあまり強みが生きないようでした。まいった、まいった...。

「もう!どうしたらいいの〜!誰か〜!」

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救世主が現れました。QuickSight大先生です。

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QuickSightは、実装コストとUXの2つの課題をクリアしてみせたのです。

QuidkSightはいわゆるクラウドのマネージドサービスであり、自前でサーバを用意する必要がありません。さらに、QuickSightはログインせずに利用できます。このログインなしの快適UXを実現するのが、アノニマスと呼ばれる認証方式です。

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アノニマス認証により、認証していないユーザーに対し一定時間のみ有効なURLを発行します。ログインしなくてもQuickSightが使えちゃう機能なわけです。これにより、「レバテックプラットフォーム使うついでにちらっとQuickSight見ていこ」UXが実現できます。

弊社がデータを蓄積しているBigQueryとのコネクタがないのが珠に傷ですが、これはデータエンジニアの方に頑張っていただきましょう。

QuickSightを使ってみてどうだった?

実際に完成したダッシュボードがこちらです。統一感のあるいい感じのダッシュボードになりました。

企業側には技術者の一覧を、技術者には市場トレンドをご覧いただけます。スキルカテゴリや週作業日数などでフィルタをして、見たい情報に絞ることができます。

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※セキュリティの関係上、上記画像の数値は実数値とは異なるダミー数値です。実際のレバテックプラットフォーム上では弊社のデータベースに基づいたリアルタイムの実数値が閲覧できます。

今回、外部サービスとして提供するダッシュボードにQuickSightを実際に使ってみた感想がこちらです。

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唯一の懸念と思われていたBigQueryとのデータ接続ですが、データエンジニアがすごくシンプルに実装してくれました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

加えて、QuickSightでフィルタログが取得可能です。フィルタログはTableauでも取得できます。

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取得できるイベントのうち、フィルタの変更ログの取得がキモです。これにより、ユーザーがどんな条件でフィルタしたかがわかるため、営業からのアクションや、マーケターの施策立案に役立てることができます。「データを公開することで有意義なデータを取得する」というサイクルが、QuickSightで実現できるのです。

おわりに

今回は、QuickSightをレバテックのマイページに埋め込んだ過程をお話しました。BIツールといえば、社内でのKPIや進捗の管理がメインの用途です。BIツールをうまく活用することで、社外への情報公開や技術者検索といった機能を簡単に実装することができます。

データを要所で公開することで、ユーザーの不便が解消され、UXが向上する事例は数多くあるかと思います。BIツールを埋め込むことで、今回のような”ちょっとイケてる体験”を簡単に提供することができるかもしれません。「なるほど、うちも真似できそう」なんて思っていただけたら幸いです。