Leverages データ戦略ブログ

インハウスデータ組織のあたまのなか

元営業のデータアナリストが考える現場と上手く仕事を進める方法

はじめに

 データ戦略室ビジネスアナリティクスグループの奥田と申します。IT人材領域の法人営業を3年経験した後、昨年4月に部署を異動し、現在はデータアナリストとして仕事をしています。

 主な仕事内容は、事業のデータ戦略策定・実行、データ活用プロジェクトのPM、事業部へのBIツールの導入及び浸透、各種データ分析・提案、データ活用研修の実施など、データ活用に関わる業務を幅広く行っています。

 データ活用の業務を進めていく上でビジネス現場との連携は必要不可欠ですが、その連携がうまくいかず様々な面で苦労することがありました。同じ思いをしているデータアナリストの方もいるのではないかと思います。そこで、営業とデータアナリストの両方の立場を経験している身として、ビジネス現場と上手く連携しながら仕事を進めていくヒントになるポイントを体験談を交えて紹介していきます。少しでも参考になれば幸いです。

営業時代の仕事内容と異動の経緯

 異動する前は法人営業として、ITフリーランス人材の活用ニーズのある企業開拓から参画支援、参画後のフォローまでの一連業務を担当していました。また、営業以外にもチームリーダーとしてメンバーのマネジメントや社外イベントの企画等、幅広い業務を経験しました。その中で事業部全体の売上改善施策を任されることがあり、現状把握や分析のためにデータに触れる機会が増えてきました。その頃からデータ活用に興味を持ち始め、「データをもっと上手く活用することで事業成長を加速できるのではないか」という思いから、データ戦略室への異動希望を出しました。

現場と仕事を進める上で工夫したこと

 ビジネス現場と連携していく中で、工夫して上手くいった事例をいくつか紹介できればと思います。

作成するアウトプットの要件を現場からヒアリングする時

 以前は、ビジネス現場の方に彼らが実現したいアウトプットを具体的にヒアリングした上で、やりたいこと/ものを実現することを重視していました。しかし、途中で要件が変わり、最終的に全然違うアウトプットに変化したり、最初の計画に戻ってたりすることがしばしば発生していました。作業工数が自分の当初の想定の3倍ぐらいに膨れ上がって苦労したのですが、今思えば自分の経験が足りなかったと反省しています。(データ分析を業務で始めたての方には結構あるあるではないでしょうか...)

 そこで具体的なアウトプットの詳細をヒアリングするのではなく、目的と使う指標のみのヒアリングに絞り、ダッシュボードや分析アウトプット等の細かな中身の要件は、草案を自分で作成して提案する形へと変更しました。すると手戻りがほとんど無くなりスムーズに要件を決められるようになりました。ビジネス現場の方は普段から顧客の声を聞いており、課題やアイデアに溢れていることが多いです。そんな中、一方的に要件を聞く御用聞きの形ではやりたいことの渋滞が発生し、「結局、当初の目的は何だったっけ?」と迷子になってしまいます。目的をブレさずに、最適なアウトプット作成に努めることによって、より意思決定につながる分析を早く提案できるようになりました。

アウトプットに対してレビューをもらう時

 レビューをもらう際は依頼事項、アウトプットのURL、対応期限を記載しSlackで依頼する形式をとっていたのですが、リマインドしても期日を過ぎることが多く、なんとかできないかと思うことがしばしばありました。そこで、できる限りレビュアーの負担を下げることを意識しようと考え方を変え、一目見ただけでレビュアーがすべきことを把握でき、かつ作業完了状態のイメージを持てるように工夫をしました。具体的に意識を変えたことは以下の3点です。

  • 「具体的にレビュー箇所を記載する(スプレッドシートの場合は列やセル単位まで指定)こと」
  • 「定義の解釈がズレないように数値定義や算出条件等はアウトプットと同じ画面上へ表示させること」
  • 「アウトプットには、自分が理解しやすい言葉ではなく、ビジネス現場で普段使っている言葉を使用すること」

 基本的に営業の方は、顧客対応の合間の限られた時間でSlackを確認することになるので、パッと見ただけで成すべきことを理解できないタスクは後回しになりがちです(そうではない方もいると思いますが、少なくとも自分はそうでした。笑)。また、外出中の場合もあるので、複数シートやドキュメントを確認しながらのレビューはかなりやりづらく、これもまた後回しになりがちです。場合によってはスマホしか操作できず、複数の確認物を行き来するのは至難の業です。すぐに(1〜2分で)完了できる依頼だと思ってもらうことで期日通りに確認してもらえて、結果的にビジネスインパクトをより早く生み出せるようになりました。また、レビュワーの負担を減らすことは、分析のレビューを依頼するときに限らず、分析のために必要なデータの入力を依頼する際などにも同じように重要だと言えます。

作成したダッシュボードを活用してもらう時

 せっかくBIツールで作ったダッシュボードでも使われないと意味がないですし悲しい気持ちになりますよね。。事業部施策のため顧客への提案資料に商談の状況に応じて動的に変化させることが可能なダッシュボードを盛り込む機会があり、必要な指標やグラフを豊富に盛り込んで作成したのですが、あまり活用されず苦労したことがありました。

 ヒアリングすると、入っている情報は正しく有用な指標であるものの、情報を盛り込みすぎており理解するのが難しいことが活用されていない原因でした。顧客は商談の場ではよくわからない情報が出てくると興味を失って話を聞いてくれないため、現場営業は自分が理解しづらく説明できないものを使用することに躊躇していたのです。また、顧客対応時は顧客の興味や態度によって次に何を話すか考えながら話すので、図やグラフの意味等は説明せずとも直感的に伝わるのが理想でした。これらは、自分が営業として顧客を訪問するときも確かにその通りで、自分の経験を活かしてもっとダッシュボードの設計時に考慮すべきだったと反省しました。

 諸々考え直し、顧客が知りたい情報がパッと見た際に顧客が伝わる形でダッシュボード全体を修正しました。下記のイメージです。複雑なグラフを削除し数値だけを表示させることで、営業からはわかりやすいと好評をいただき、これまで以上に営業訪問先で使用され、より質の高い提案営業活動を実現することに成功しました。

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まとめ

 これらはあくまで個人的な体験談ですが、総じてシンプルで理解しやすいものでないと人は中々動いてくれないのかなと思います。特に営業現場はどうしても顧客対応が優先になるため、考える必要が無いくらいにシンプルさを追求するぐらいが良いと実感しました。ちなみに、レビューをもらう時の工夫等は現場に限らずチーム内や上司に依頼する際も同じようなことが言えそうですね。また、営業職の方は顧客と直に接して仕事をしている方が多く、課題解決のヒントになる貴重な情報を沢山もっているので、積極的にコミュニケーションの機会を作るようにしました。それにより業務理解やドメイン知識の習得も進むので、より良いデータ活用仮説を立てやすくなり、仕事が進めやすくなるという好循環を作れておすすめです。

今後について

 現在、レバレジーズはデータドリブン経営を全社的に推進しており、特にIT領域ではリード獲得、ナーチャリング、マッチング全ての顧客接点時のUX向上のためのデータ活用を中長期戦略においています。そして、データ戦略室がそれらの戦略を主導していく立場にあります。私自身も今後は事業部のデータ戦略立案から実行、それに基づくシステム横断でのデータ整備、機械学習プロダクト開発プロジェクトのマネジメントがメインミッションになります。データ活用により事業の競争優位性を最大化することに引き続き尽力していきます。